SHUNKANJIN

中富良野町 農業者 北海道指導農業士協会 指導農業士 「北のカレー工房きらら」

農業者
北海道指導農業士
「北のカレー工房きらら」

九栗 貞子 氏

時代に合った農業者のあり方がある

「自分が嫌だったことを次の世代に引き継ぎたくない。」そう、ハッキリと言う九栗氏。農家に嫁いだ女性はただただ働くことで評価され、自分の口座を作ることも難しかった時代、家庭の中で自分の立ち位置もなく悩む女性も多かったそうだ。自身も家業に育児、介護と重なり地域の活動にも参加できなかった経験をふまえ、これでは後継者の育成もままならない、農業を代々継続していくのも厳しいと感じていた。そんな時、周りの後押しもあり北海道指導農業士の認定を受けた。

指導農業士というととても難しい仕事のように聞こえるが、地域の担い手育成や研修生の受け入れをし、共に学ぶ立場にあるとのこと。今では年間10数回の講演をこなす中で、多くの若い女性農業者から相談を受けるという。時代も変わり、家族経営協定を結ぶなど表立っての形はずいぶん整ってきたが、実はまだまだ農村地域の確執は残っているのが現実だ。給与や休日の設定、生活の場を分ける配慮など相手の立場を理解しようと向き合うことが大切で、こうあるべきと思い込んだ型にはめ込むのではなく、「適材適所で良いんです」と九栗氏は微笑む。何より一生懸命、真っ直ぐに生きることが大切、そうした姿は必ず見ていてくれる人があり、一人の人として認められると語る。

やっとカレー屋になれました

自身の基本は農業者だという九栗氏だが「北のカレー工房きらら」のオーナーでもある。全くの未経験から4人で始め、失敗も喜びも全てをステップに現在は7名のスタッフで切り盛りするまで成長した。どんな時もお客さまには正直に接することが基本。そして旬の素材を味わってもらい、野菜や地域の情報を提供するのも一つの仕事としている。スタッフの半数は女性農業者でもあるので、彼女たちには農業現場とは別の仕事で働いて得た対価を家族にも伝えるよう指導。そうすることで、家庭の中での自分の立ち位置を確立でき、本業と本業以外の仕事とのバランスも取れると考える。九栗氏自身にとってもこのカレー店の経営全てが、基本となる農業に活かせているそうだ。

カレーのベースは専用に作ってもらった玉ねぎで、ゆっくり時間をかけて煮込んだルーに新鮮な野菜をトッピングする。カレーに添えるサラダ用の野菜は九栗氏やスタッフが丁寧に育てたもの。常に食材には凛とした姿勢を崩さない。開店当初はお客様に教えていただくこともたくさんあったそうだが、16年経った今、自信を持ってカレーを提供することができるようになり、リピーターにも「やっとカレー屋になったな」と言われるように。現在はスタッフからオーナーと呼ばれる九栗氏。素晴らしいロケーションに魅せられ、階段を一歩登るとスイッチが入る。今でも仕込みは欠かさないが、信頼できるスタッフに任せることも多くなった。今後は地域貢献にも力を注ぎたいと語る。

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