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上富良野町 上富良野町ホップ生産者

上富良野町 ホップ生産者

稲葉 彰 氏

ホップの魅力に引き込まれ

ビールの主原料の一つであるホップ。上富良野町は道内唯一の生産地として知られる。そこにあるサッポロビール株式会社北海道原料研究センターで、ホップの品種改良等研究を重ねていた稲葉氏は、現在、ホップ生産農家となり5年が経つ。数少ないホップ生産農家の中でも、ホップ専業農家として貴重な存在でもある。

多年草のホップの芽は、雪が解ける5月初めに顔を出す。伸び始めたら5.5mもあるという棚から下がる糸に蔓を絡ませる。ホップは成長の早い植物で一日に平均10㎝、気候条件が整えば一日に25㎝ほど伸びることもあるという。その後、7月中旬に花をつけ、8月末には球花(果実)となる。黄緑色の小さな松ぼっくりのようにも見えるこの球花こそがビールの原料の一つとなり、製造過程で多種多様な工夫がなされ、色々なビールが生まれる。

ホップ生産農家に転身して5年、ようやく他の生産者と同程度の収穫量を得ることができたという稲葉氏。現在自らが育てるホップは、研究者として得たデータと一致せず、頭で考える植物と育てる植物の違いに戸惑うこともあるという。それでも、その歴史から生育、加工、ビールの製造工程に至るまでを語る稲葉氏からは、絶えず笑みがこぼれる。

より魅力的なビール造りに貢献したい

無類のビール好きという稲葉氏。昨年、収穫したてのホップをつかったビール造りを提案し「摘みたてホップのできたてクラフトビールの集い in 上富良野収穫祭」を仲間と共同開催。多くの方に、生ホップビールの美味しさを味わってもらうことができた。そしてこの夏、上富良野町に誕生する新たなブルワリー「忽布古丹醸造(ほっぷこたんじょうぞう)」に原料を提供する一生産者にもなる。自らが育てたホップが、多くの人に愛され続けるサッポロビールの商品に生まれ変わる喜びと共に、より個性的な魅力溢れるクラフトビールの原料となることに期待を抱き、ホップ生産者としての栽培研究に余念がない。

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